幹線ケーブルは高いところに電線を張って電気を送る、架空方式が一般的でした。しかし最近では、地中配線が注目を集めています。どのような方法で敷設されるのか知りたいと思っている方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、幹線ケーブルを敷設する方法についてご紹介します。地中に配線するメリットも説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
1.幹線ケーブルを地中に敷設する施工方法
幹線ケーブルを地中に敷設する方法をみていきましょう。
1-1.直接埋設式
直接埋設方式は、道路敷地内に電力線や通信線などを埋設する施工方法です。浅層埋設方式の管路や、電線類を収容する小型ボックスなどの部材が不要となります。そのため、常設作業帯等が確保できる路線で適用される可能性があります。また、上下水道管やガス管等の既存埋設物との干渉が減少することで、支障移設が減少するでしょう。
1-2.管路式
管路式とは、強化プラスチックやコンクリート、鉄などの管を使って保護する方法です。管路式はケーブルの本数が多い場合や、交通事情によって掘削工事を行うのが難しい場所で実施されます。管路式では管を通しておけば、後から増線や配線の撤去がしやすくなるというメリットがあります。一方で熱放射がしにくい点はデメリットだといえるでしょう。
1-3.暗渠式
暗渠式は、途中に暗渠と呼ばれる密閉空間を作って地下に埋設し、その中にケーブルを納める方式です。暗渠は強度の強いコンクリートで作られます。暗渠は人が入れるほどの大きさがあり、形は正方形や長方形、アーチ形などさまざまです。暗渠式はケーブルの増設・撤去、メンテナンスがしやすく、機能面で優れています。しかし、工事費が高く、工期が長いというデメリットもあります。
2.地中配線のポイント
地中配線を行う際は、配線を埋設する深さに気をつけましょう。地中配線は、車両や重量物などの圧力に耐え、掘削工事の影響を受けないように注意しなければなりません。そのため、経産省によって埋設する深さの基準が定められています。基準は車両などの圧力を受ける恐れがあるかないかによって異なります。重量物の圧力を受ける可能性がある場所は1.2m以上、重量物の圧力を受けない場所では、0.6m以上の深さに埋設しなければなりません。
ただし、圧力に耐えられるような施設では、この規定通りではありません。たとえば地中埋設のための保護管を使用している場合は、車道の地下なら0.8m以上、歩道では0.6m以上、一般住宅や学校・公園などの場合は0.3m以上となっています。
3.幹線ケーブルを地中に配線するメリット
幹線ケーブルを地中に配線するメリットをみていきましょう。
3-1.景観の向上
視野に電線がないだけで、空が明るくなり、街全体がスッキリするでしょう。観光振興の観点から良好な景観づくりは重要な施策と考えられています。とくに歴史的街並みなどが有名な、観光客が多い地域では、景観が重視されるでしょう。景観が向上すると住む人のストレス軽減につながります。
3-2.災害時に倒壊しない
地震や台風などの災害時は、電柱が倒れて道路が塞がったり、緊急車両の通行が遮断されたりする可能性があります。道路が通行不可能になると、通行可能な道に車が集中するため、大渋滞が発生するでしょう。電柱が倒壊すると、救助・復旧活動が遅れる可能性もあるのです。電柱がなくなれば、倒れた電柱による、人や建物の被害がなくなります。また、倒壊した電柱が道路をふさいでしまう恐れもなくなり、災害に強いまちづくりができるでしょう。
3-3.停電が減る
電柱がなくなれば停電が減るという大きなメリットがあります。空中を通る電線は、常にさまざまなリスクに接しており、停電を引き起こすことがあるでしょう。電線に起きた支障の原因は、自然災害や樹木や鳥獣など、他物接触です。地中にケーブルがあると鳥や樹木と接触することがなくなります。
3-4.交通事故が減る
狭い道路では、電柱を避けようとして車道に出た歩行者と自動車の接触事故が多発しています。電柱がなくなることで、歩行者は歩道をスムーズに通行出来るようになるでしょう。そのため、事故が減る効果を期待できます。また、自動車などを運転する人にとってもメリットだといえるでしょう。一般道での自動車事故は全体で死亡率が0.7%なのに対し、電柱への衝突事故での死亡率は7%というデータがあります。重症事故率も全体が7%に対して、電柱衝突は27%と4倍近くも高くなっています。電柱への衝突事故は減少傾向にありますが、電柱がなければ、電柱に衝突する事故は起こりません。
4.まとめ
注目されている地中配線は、建設コストが高く、完成までに時間がかかるので、まだまだ数は少ないのが現状です。しかし、地中を通してケーブルを敷設するとさまざまなメリットがあります。これから地中配線の需要はさらに高まっていくでしょう。
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